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イアラー!

わたしたちはととのいたい(あるいはととのいたくない)

私は「ととのう」という言葉からいつまで逃げ続けているのか。

もつつもたれつ

数年前、友人が突然肉を食べるのをやめた。魚介類は食す菜食主義者、いわゆるペスカタリアンになったのだ。かねてより「人間は絶滅して動物だけの世界になればいい」と終末思想を述べていた彼が、偶然出会ったペスカタリアンの人とお付き合いをはじめ、思想…

正しいままではいられなくとも

そもそもはじめに口ごもったのがよくなかった。 先日訪れた調剤薬局から「お渡ししたお釣りが少なかったので、お返ししたいのですが」と電話があり、あらまあそれは仕方ないわねえ面倒くさいけど取りに行くしかないわねえ、と心の中でぶつくさつぶやきながら…

現実から逃れてサウナに行こう

ああ、今年もいつのまにか秋が終わった。何もなさないまま秋が終わった。 日々大した楽しみもなく、薄給で長時間働き、「疲れた」が口癖になり、加齢による関節の痛みに耐えながら、同年代の平均年収を見て吐き気をおぼえ、キャリアプランだの老後資金だのか…

アイスクリームの天秤

10年使っていた冷蔵庫がいよいよ壊れたので、買い替えることになった。科学の進歩はめまぐるしく、大抵の家電は買い替えると新たな機能がついていたりして多少なりとも楽しみがあるものだが、冷蔵庫に関しては別だ。新しい機種でもせいぜい「急速冷凍」「…

愛のサイクル

コロナ禍で満員電車に乗るのがはばかられるようになったので、かねてからの懸念であった脂肪の燃焼も兼ねて、自転車通勤をはじめた。片道約一時間の通退勤、身体はしんどいけれど心は快適。もしかしたら歩く時間よりも自転車に乗っている時間のほうが長いか…

いつかまた会える日がくるかしら

連休の最終日、明日からの仕事に備え肩こりを解消したく、整体へ行った。夜八時からの回しか空いておらず、整体を終えたのは十時近かった。こりの痛みからしばし解放され、身も心も軽くなったところで、異様な空腹をおぼえた。整体中にリバースするわけにも…

パスタとコック

パスタの味が薄い。 これは今日の昼飯に限った話ではない。我が家のパスタはいつも味が薄い。気づかないふりをしていたが、ずっと前からそうだった。理由はわかっている。麺が多いのだ。一人前のソースに対して麺が過剰なのだ。麺がソースを纏いきれていない…

リモートでコントロールされる

四年前、引越し先として今の部屋を決めたとき、私はもうすべての妥協を済ませたつもりでいた。 築年数がかなり経っていることも、ウォッシュレットや洗面台がないことも、風呂が少し狭いことも、ベランダの外が庭になっていて夏場には虫が入ってきそうなとこ…

ウーバーイーツのパラドクス

「痩せたい」と口に出すのは簡単で、あまりに簡単なので口に出しすぎてしまい、その言葉は意味をもたなくなり、ただの音になってしまった。 そもそも私は本当に痩せたいと思っているのか。「痩せたい」と口に出すことで、私には向上心がある、と自分自身に言…

WASHABLE

誰もが「成功できるはずない」と言うようなことでも、わずかな可能性に賭けて挑戦する人がいる。きっとそういう人は成功をおさめ、のちのち挑戦の尊さについてしんしんと語るのだろう。 一方で、可能性がいくらあったとしても、挑戦しない人はしない。できな…

タピオカ考

阿佐ヶ谷駅はそれほど大きくなく、都会的とは言い難いのだが、なぜか駅前にGong Chaという今ブームのタピオカ屋がある。ここができたのは2016年、現在のタピオカブームが始まる前で、クリスピークリームドーナツが潰れた跡地だった。クリスピークリームドー…

SORACHI1984はとてもおいしかったです

私は死装束にウッドストックのバッジを付けるかもしれない。どうしてそう思ったのかというと今日丸ノ内線の新型車両に乗ったからで、そもそもビールの懸賞に当たったからだ。 私の脳はたぶんかなりコンパクトで、三十年ぶんの記憶をつめるのにはまったく足り…

クソについての話

とうとう私の20代が終わろうとしている。 20代最後の1年について思い返してみると、憧れの漫画編集職に就いたはいいものの、メンターとあまりに合わず、もともと根性がないことが相まって、メンタルがあっさりやられ、半年で退職することになり、好きだった…

ときめきこそが人生か

「ときめかぬなら捨てよ」と、かの女は言った。 その教えはものすごい勢いで全世界へ広がり、異教徒の私ですらも意識せずにはいられないほどになった。非キリスト教圏におけるクリスマスのように、もはや宗教の垣根を越え、人々を時に救い、時に陥れる。

グッドバイ・ディナー

飲食業を蔑む人間は、少数だが確かに存在する。大多数はそんなことなど考えない、職業に貴賤などないとわかっていても、私は他人の蔑みにひどく敏感になり、過剰に卑屈になってしまった。5年前からまったく成長していない。仕事の話を聞かれるのが嫌だった。…

贅肉を捨てよ、町へ出よう(実践編あるいは完結編)

私は食べるのが好きだ。 食はいつでも幸福をくれる。100円のあんぱんでも、10,000円の天ぷらでもいい。貧乏舌なので、10,000円の天ぷらにあんぱん100個分の価値があるかと問われると難しいのだが、だからといってあんぱんを100個食いたいという話ではなくて…

贅肉を捨てよ、町へ出よう(契約編)

本当に私はジムに通う人間を嫌悪していたのだ。「筋肉のためにジムなんて気持ち悪い」と思っていた。健康のために通う人が大多数であろうことは無視し、ただ悪意だけをもって見つめていた。 はじめは、ただ自らが為しえないことに対する羨望からくる嫉妬だっ…

第一三共ヘルスケア 「トラフルダイレクト」 利用者のレビュー ★★★★★(5.0/5 27歳男性)

もうすべてがつらいんです、と彼女は言った。

季節はとつぜんにすぎさり

ああもう冬かあ、いやまだ冬やないやろ、いくらなんでもまだ秋やろ、という薄ら寒い一人ノリツッコミを、もう何年くりかえしただろうか。 今年もサッポロビールより冬物語が発売された。例年に違わず、まだ10月だというのに。毎年、このビールを見つけるたび…

ビールとビールもどき

私にとってはビールではなかった。しかし、私にとってこそビールであった。

丸い鯛焼きのはなし

鯛焼きには尻尾まで餡子が詰まっていたほうがいい、当然であろう。尻尾に餡子が詰まっていないほうが好きな人なぞいるのだろうか。いや、餡子が不得意ならばそれもありうるだろうが、そういう人々は鯛焼き自体があまり好きではないだろう。私は鯛焼きを愛す…

でんきあんかとわたし

別れの季節だ。 冷え性の辛さは冷え性にしかわかるまい。手足が冷える、という一言では片付けられない闇があるのだ。いくら厚着をしても、手足だけが水に漬かっているような冷たさ。靴下を履いても手袋をつけてもおさまるものではない、内側から冷えているの…